メルカリのビットコイン、確定申告はもう怖くない。元投資家が語る「失敗しないため」の全手順

メルカリでビットコインが買えるなんて、本当に便利な時代になりましたね。フリマアプリの延長で、まるでポイントを貯めるような感覚で、未来の資産をコツコツ積み上げられる。その手軽さは、暗号資産への入り口として、これ以上ないほど素晴らしいものだと思います。

しかし、あなたに一つ、どうしても伝えておきたいことがあります。その手軽さの先に、「確定申告」という名の、投資家としての最初の試練が待ち受けているということを。

こんにちは。私は2017年のビットコインバブルで暗号資産の世界に飛び込み、天国と地獄を味わってきたベテラン投資家です。一時は億を超える含み益に有頂天になり、その後の大暴落で資産の9割以上を失いました。その壮絶な失敗から学んだことは数え切れませんが、その一つが「税金との向き合い方」です。

「少額だから大丈夫だろう」「やり方が分からないから、また今度」…その甘い考えが、後になってどれほど大きな足枷になるか。私は、その怖さを身をもって知っています。この記事は、単なる「メルカリ ビットコイン 確定申告 やり方」の解説書ではありません。私が過去に犯した過ちを、あなたに繰り返させないための、魂を込めた指南書です。

なぜ確定申告が必要?ビットコイン取引と税金の「絶対的ルール」

まず、大原則からお話しします。ビットコインをはじめとする暗号資産で得た利益は、日本では「雑所得」に分類されます。これは、あなたの給料(給与所得)とは別の、もう一つの収入源と見なされるということです。

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そして、この「雑所得」が、年間で20万円を超えた場合、あなたは確定申告をする義務があります。これは、会社員やパート・アルバイトで年末調整をしてもらっている方の場合です。

「え、20万円も利益なんて出てないよ」と思いますか?侮ってはいけません。例えば、春に10万円分買ったビットコインが、年末に31万円に値上がりしたとします。そこで軽い気持ちで売却(日本円に交換)したら、利益は21万円。この時点で、あなたはもう確定申告の対象者なのです。

メルカリの売上金で不要品を売った利益は基本的に非課税ですが、ビットコインは全くの別物。「投資」によって得た利益であり、国はあなたのその利益をしっかりと見ています。この違いを、まず心に刻んでください。

確定申告のやり方:大海原を渡るための「航海図」を授けよう

「やり方が分からない…」大丈夫、誰でも最初はそうです。ここからは、この複雑な航海を乗り切るための「航海図」を、ステップバイステップで解説します。焦らず、一つずつ進めていきましょう。

ステップ1:取引履歴の取得 ― すべては「記録」から始まる

確定申告の心臓部、それは「取引履歴」です。いつ、いくらで、どれだけのビットコインを買い、売ったのか。この記録がなければ、何も始まりません。

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メルカリのアプリやサイトから取引履歴を確認することはできます。しかし、ここで一つ、メルカリの大きな弱点をお伝えしなければなりません。2025年6月現在、メルカリでは取引履歴をCSVファイルなどで一括ダウンロードすることができません。

これは、正直に言って投資家にとっては致命的です。だからこそ、私たちは自衛しなければなりません。取引をしたら、その都度、ご自身でスプレッドシート(GoogleスプレッドシートやExcelなど)に記録する習慣をつけてください。最低でも、以下の項目は必ず記録しましょう。

  • 取引日時
  • 売買の別(購入 or 売却)
  • 数量(例:0.01 BTC)
  • 単価(1BTCあたりの円価格)
  • 取引金額(日本円)
  • 手数料

この地道な作業が、後々のあなたを必ず救います。

ステップ2:取得価額の計算 ― 「移動平均法」をマスターせよ

次に待ち受ける関門が「取得価額」の計算です。ビットコインを複数回にわたって購入した場合、「結局、自分が持っているビットコインの原価はいくらなの?」を計算する必要があります。

計算方法には主に「移動平均法」と「総平均法」の2つがありますが、私は「移動平均法」を強く推奨します。

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・移動平均法:ビットコインを買い増すたびに、それまでの保有分と合算して平均取得単価を計算し直す方法です。料理で言えば、秘伝のタレを継ぎ足していくイメージ。手間はかかりますが、売却の都度、正確な利益を把握できます。

・総平均法:1年間(1月1日~12月31日)の購入総額を、購入総数量で割って、その年の平均単価を出す方法。年末に大鍋で全部混ぜ合わせるようなもので、計算は楽ですが、期中の損益が分かりにくいデメリットがあります。

一度選択した計算方法は、特別な理由がない限り継続する必要があります。どちらを選んでも構いませんが、市場の動きに機敏に対応するためにも、取引の都度、自分のポジションを正確に把握できる移動平均法を身につけることをお勧めします。

確定申告で誰もが陥る「3つの落とし穴」と、その回避策

航海には、予期せぬ暗礁がつきものです。ここでは、多くの人が知らずに乗り上げてしまう、特に危険な3つの落とし穴についてお話しします。

落とし穴1:ビットコイン決済は「利益確定」であることの見落とし

これが最も多い間違いです。メルカリで、貯まったビットコインを使って商品を購入したとします。あなたは「買い物をした」と思っていますが、税務上は「ビットコインを売却して日本円に換え、その円で商品を買った」と見なされます。

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つまり、あなたが1万円分のビットコインで商品を買った時、そのビットコインの取得価額が8,000円だったとしたら、差額の2,000円は課税対象の「利益」になるのです。この認識がないまま取引を重ねると、気づかぬうちに多額の申告漏れ利益を生み出している可能性があります。

落とし穴2:経費計上の「甘い罠」

「ビットコインの勉強のために買った本の代金は経費になる?」答えはイエスです。取引手数料や、税理士への相談費用も経費として認められる可能性があります。しかし、個人的な交際費や、投資とは直接関係のないPC購入費などを経費に含めることはできません。

「これくらいなら…」という甘い考えは通用しません。税務署は、その支出が本当に利益を得るために必要だったのかを厳しく見ます。迷ったら、「その経費がなければ利益は得られなかったか?」と自問自答してみてください。

落とし穴3:少額取引の軽視

「数百円、数千円の利益だから申告しなくてもバレないだろう」…私も昔、そう考えたことがありました。しかし、それは大きな間違いです。税務署は、取引所の取引データや銀行の入出金記録などから、個人のお金の流れを追跡する能力を持っています。

一つ一つの取引は小さくても、積み重なれば大きな金額になります。申告漏れを指摘された場合、本来の税金に加えて、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティが課せられます。信頼を失う代償は、あなたが思うよりずっと大きいのです。

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【重要】仮想通貨の節税と「損出し」という必須テクニック

さて、節税の話です。ここで、多くの情報サイトが間違えがちな、非常に重要な点をお伝えします。

株式投資の場合、損失が出たらその損失を最大3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できる「損失の繰越控除」という制度があります。しかし、仮想通貨の「雑所得」では、原則としてこの損失繰越は認められていません(※2025年6月時点の税制です。事業所得として認められるなど特殊なケースを除きます)。

これは、我々仮想通貨投資家にとって非常に厳しい現実です。今年の100万円の損失は、来年の200万円の利益を減らしてはくれないのです。では、どうすればいいのか?

そこで重要になるのが、年末に行う「損出し」というテクニックです。これは、その年のうちに含み損を抱えている通貨を一度売却し、損失を確定させることで、すでに出ている他の利益と相殺する方法です。

例えば、年内にビットコインで50万円の利益が出ていて、別のアルトコインで30万円の含み損を抱えているとします。このまま年を越せば50万円が課税対象ですが、年内にそのアルトコインを売却すれば、利益は20万円(50万円 - 30万円)に圧縮できます。これが、私たちにできる数少ない、しかし極めて有効な節税策なのです。

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もし確定申告をしなかったら…その先に待つ未来

「面倒だから」「バレないだろう」と確定申告を怠った場合、どうなるのか。これは脅しではなく、現実として知っておいてください。

ある日突然、税務署から「お尋ね」という一通の手紙が届きます。そこから、あなたの過去の取引履歴、銀行口座の入出金が徹底的に調査されます。申告漏れが発覚すれば、本来の税額に加え、無申告加算税(最大20%)、悪質と判断されれば重加算税(40%)、さらに納付が遅れた日数分の延滞税が雪だるま式に加算されます。

私が失った1.4億円は市場の暴落によるものでしたが、税金のペナルティはじわじわと、しかし確実にあなたの資産を蝕みます。そのストレスは、市場のボラティリティとはまた違う、重苦しいものです。正しい申告は、未来の自分を守るための最高の保険なのです。

ビットコイン確定申告 Q&A ― 先輩投資家があなたの疑問に答えます

ここでは、あなたが抱えているであろう具体的な疑問に、Q&A形式でお答えします。

Q: メルカリポイントでビットコインを買いました。このポイント分はどう計算すればいいですか?

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A: メルカリポイントで購入した場合、そのポイント利用額がビットコインの取得価額になります。例えば、1,000円分のポイントでビットコインを買ったら、そのビットコインの原価は1,000円です。非常にシンプルですね。

Q: 複数の取引所を使っています。確定申告はどうすれば?

A: すべての取引所の取引を合算して、年間の損益を計算する必要があります。メルカリでの取引、他の国内取引所、海外取引所…すべてを一つのスプレッドシートにまとめて管理するのが理想です。まさに、あなたの資産全体の航海日誌を作るのです。

Q: 税理士さんには、いつ相談するのがベストですか?

A: 一概には言えませんが、個人的な見解としては、年間の利益が100万円を超えたあたりで、一度、仮想通貨に詳しい税理士に相談してみることをお勧めします。専門家への投資は、将来の安心を買うための必要経費だと考えましょう。

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※本記事に記載されている税務に関する情報は、2025年6月時点の法令等に基づいています。税制は改正される可能性があるため、申告の際は必ず国税庁の公式サイトで最新情報を確認するか、税理士などの専門家にご相談ください。

まとめ:確定申告を制する者は、クリプト投資を制する

ここまで長い道のり、お疲れ様でした。メルカリでのビットコイン取引から始まる確定申告の旅は、一見すると険しい山のように見えるかもしれません。しかし、それはあなたが投資家として独り立ちするための、避けては通れない「通過儀礼」なのです。

この記事でお伝えした知識は、あなたの羅針盤となり、航海図となるはずです。取引の記録をつけ、利益を計算し、ルールに則って申告する。この一連のプロセスを乗り越えた時、あなたはただの参加者から、自分の資産に責任を持つ、真の投資家へと成長していることでしょう。

税金は、決して敵ではありません。社会を支えるためのコストであり、あなたが利益を上げたことの証明でもあります。正しく向き合うことで、あなたは胸を張って、この刺激的で可能性に満ちた暗号資産の世界を歩み続けることができるのです。

さあ、最後に、明日からできる、いえ、今日からできる最初の一歩をお伝えします。

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まずは、あなたのスマートフォンを手に取り、メルカリアプリを開いてください。そして、ビットコインの取引履歴を一番古いものから順に眺め、それをスプレッドシートに1件書き写してみる。ただ、それだけで構いません。その小さな一歩が、未来のあなたをあらゆるリスクから守る、最も確実で力強い一歩となるのです。あなたの投資家としての航海が、実り多きものになることを心から願っています。

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